準備期で心身が整い、日常生活をある程度送れるようになってきたら、
いよいよ「実行期」に入ります。
この時期は、段階的に社会復帰を進めながら、
再発を防ぐための生活リズムとストレスマネジメントを定着させていく時期です。
なぜ「実行期」が大切なのか
実行期は、適応障害の克服において最も注意が必要なフェーズです。
ストレス因子から離れていた期間を経て回復してきたものの、再び環境に戻ることでストレスがかかりやすく、再発リスクが高い時期でもあります。
焦って元の生活に完全に戻ろうとせず、「少しずつ負荷をかける」ことが回復を安定させる鍵です。
具体的には次の3つがポイントです。
- 段階的にストレスをかける
- 周囲と相談しながら進める
- 再発を防ぐためのセルフケア&ストレスマネジメント法を実践する
①段階的にストレスをかける
例えば、休職していた場合には次のようなステップを意識します。
- 通勤訓練を行う(まずは職場までの往復を試す)
- 短時間勤務やリモートワークから再開する
- 負担の少ない業務・慣れた仕事から始める
「急にフル稼働に戻る」のではなく、ストレスの“リハビリ”を意識して進めていきましょう。

②周囲と相談しながら進める
復職や社会復帰の進め方については、
会社・産業医・主治医と十分に相談しながら計画を立てることが大切です。
産業医は、医療面と労働環境の両方から支援してくれる存在です。
「どの程度働けそうか」「勤務時間や業務量をどう調整するか」などを一緒に検討しながら、
無理のない復帰計画を作っていきましょう。

③再発を防ぐためのセルフケア&ストレスマネジメント法を実践する
復職後は、どうしても疲れや不安を感じやすい時期です。
そんなときこそ、準備期で培ったセルフケアやストレス対処法を思い出してみてください。
- 睡眠・食事・運動のリズムを崩さない
- ストレス解消法リストを活用する
- マインドフルネスや感謝日記を続ける
- 趣味や家族・友人との時間を楽しむ
生活リズムを整え、リフレッシュの時間を意識的に取り入れることで、
心身のバランスを保ちやすくなります。
仕事とプライベートを切り分け、オンとオフの切り替えを意識することも大切です。
勤務中は集中し、仕事が終わったらしっかりと心を休める。
そのメリハリが、疲労の蓄積を防ぎ、長く安定して働くための土台になります。

適度なストレスは、レジリエンスを育てる
復職後は、休職中と比較して多くのストレスがかかります。
自分でコントロールできないものもあるため、疲れが溜まってしまう日もあるでしょう。
私自身、復職後は「やっぱりだめかも」と感じるような気分の落ち込みが、数か月に一度はやってきました。
それでも、準備期で培ったストレスマネジメント法を実践するうちに、
立ち直るスピードが少しずつ早くなっていくのを実感しました。
そして、「以前よりも回復できている」という小さな成功体験の積み重ねが、
自信と安心感につながっていきました。
私自身の経験からも、適度なストレスは適応障害の克服に有効だと感じています。
大切なのは、ストレスをゼロにすることではなく、
“ちょうどよい刺激”を受けながら調整できる自分を育てることだと思います。

少しずつ前進すればよい
実行期では、「できなかったこと」よりも「できるようになったこと」に目を向けましょう。
焦らず、自分のペースで少しずつステップを重ねていくことが大切です。
復職はゴールではなく、むしろ新たなスタート地点です。
適応障害の克服における本当の目的は、「再発せずに、自分らしく働ける状態を維持すること」。
もちろん、ストレスを完全に排除することは難しいです。
それでも、回復期で身につけたストレスマネジメントを生かしながら、
「ストレスと上手に付き合う力」を育てていく
ーーーそうすることで、より安定した毎日を過ごせるようになります。
少しずつで大丈夫です。
今日できた小さな一歩を積み重ねていくことが、再発予防と心の成長につながります。

まとめ
実行期は、回復した自分を社会の中で試しながら、ストレスとの付き合い方を実践的に身につけていくフェーズです。
- 段階的にストレスをかけて慣らす
- 周囲のサポートを得ながら進める
- 準備期で学んだセルフケアを継続する
- そして、適度なストレスを「自信につなげる」
これらを意識しながら、自分のペースで少しずつ「新しい日常」を築いていきましょう。

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