適応障害を正しく知る③ うつ病との違い~適応障害は『軽症なうつ病』ではない!

適応障害

この記事では、『適応障害とうつ病の違い』についてお話します。

適応障害とうつ病はどちらも、気分の落ち込み、不安、不眠など、心や身体にさまざまな症状を引き起こします。
適応障害とうつ病は表面上の症状が似ていますが、全く異なる病気で、治療法も異なります

以下でわかりやすく解説してきますので、ぜひ最後までご覧ください。

~私の適応障害エピソード~

若手内科医として子育てをしながらフルタイム勤務中、パワハラをきっかけに適応障害を発症。8ヶ月間の休職を経て回復し、復職。

適応障害とうつ病の定義

適応障害とうつ病の定義は、それぞれ以下となります。

  • 適応障害
    特定のストレス因子にとらわれ、過度に心配したり、繰り返し思考することで、ストレスにうまく適応できず日常生活に支障をきたす状態。
  • うつ病
    気分がひどく落ち込み(=抑うつ気分)、あらゆることへの興味や喜びを失い、日常生活を送ることが困難になる状態。

これだけ読んでもピンとこないかもしれません。

では、いったい適応障害とうつ病にはどんな違いがあるのでしょうか?

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病の違いについて、①原因、②症状の変動、③治療、④予後の4つの観点から解説していきます。

原因

  • 適応障害には必ずストレス因子がある
  • うつ病にはストレス因子がないケースもある

適応障害は、ストレス因子の存在が必須で、「ストレス因子へのとらわれ」が根本にあります。

ストレス因子とは、例えば環境の変化(職場異動、転校)、人間関係のトラブル(パワハラ、セクハラ、離婚)といったものです。

ストレス因子へのとらわれ」が生じ、過度な心配や不安にとりつかれ、脳内にくり返しネガティブな思考が浮かぶ状態になることで、適応障害を発症します。

※適応障害の原因についてはこちらの記事で詳しく解説しています

一方で、うつ病はストレス因子がなくても発症することがあります。「きっかけが不明」というケースも多々あるのです。

ストレス因子をきっかけに発症する人もいますが、その他遺伝的要因、慢性疾患の存在(がん、アルツハイマー型認知症など)、さまざまな要因が関係しているとされます。

また、病態については十分に解明されていませんが、神経伝達物質の減少や炎症性物質の影響などが考えられています。

症状の変動

  • 適応障害は、ストレス因子から離れると症状が改善する
  • うつ病は、ストレス因子から離れても症状が持続し、に悪化する

適応障害は、基本的にストレス因子から離れると症状が改善します。

例えば、職場の環境がストレス因子の場合、家に帰ると比較的元気だったり、週末は家族と外出して楽しく過ごせたりします。
 

一方で、うつ病は一日中症状が続きます
ストレスから離れたとしても、気分の落ち込みや、何事にも興味がわかない状態が持続します。

一日の中でも、に症状が悪化する傾向にあります。

治療

  • 適応障害の治療は①ストレス因子の特定②ストレスマネジメントがカギ
  • うつ病では、中等度以上なら抗うつ剤の適応となる

適応障害の治療は、①ストレス因子の特定②ストレスマネジメント(ストレスの軽減、ストレス耐性をあげる、周囲のサポート)が中心となります。

ストレス因子を正しく把握し、離れられるように環境調整をするとともに、ストレス耐性をあげるために「考え方のクセ」の修正をおこないます。

うつ病の治療には、環境調整に加え、心理療法や認知行動療法、抗うつ薬の使用が検討されます。
特に、中等度以上のうつ病は抗うつ剤での治療が必要となります。

(※適応障害に対しても、抑うつ症状が強い場合には、抗うつ薬が使われることもあります。)

予後

  • 適応障害は、ストレス因子が取り除かれれば通常6ヶ月以内に改善
  • うつ病は増悪寛解を繰り返し、再発のリスクがある

適応障害は、ストレス因子から離れることで通常は6ヶ月以内に改善するとされます。

ただし、ストレス因子が取り除けない場合、病院を受診せず放置された場合、他の精神疾患を合併した場合には症状が重症化したり、長期化することもまれではありません。

適応障害は「軽症のうつ病」と思われがちです。
しかし、「適応障害は軽い症状だから心配いらない」といった誤解は非常に危険です。
しっかりとした治療とサポートが必要な病気であることを理解することが重要です。

一方で、うつ病は適応障害と比較して、症状が長引きやすい特徴があります。
うつ病の症状は、時に良くなったり、また悪化したりを繰り返すことが多く、一度治ったとしても再発するリスクが高いです。

そのため、うつ病においては治療が完了した後も最低2年間の維持療法が推奨されています。

とはいっても、適応障害とうつ病の区別はむずかしい

上記のような違いはあるものの、適応障害とうつ病は明確に区別ができないことがあります。

特に、症状の程度が強い適応障害や、発症のきっかけとなったストレス因子があるうつ病の場合です。

主治医にも確認しましたが、実際に適応障害とうつ病の判別に悩むケースも多々あり、そのような患者さんの場合は数ヶ月単位での症状の経過をみて判断していくそうです。

前述の通り、適応障害とうつ病では治療が異なります。
「おかしいな?」と思ったら早めに精神科を受診すること、しっかりと通院を継続し、自己判断でやめないことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

適応障害とうつ病は似ていますが、原因や経過、治療法が異なります。

適応障害とうつ病は区別が難しいことも多く、症状が現れたら早めに専門医の診断を受け、適切な治療につなげることが重要です。

適応障害やうつ病の患者さんは判断能力が落ち、自分でなかなか気づけないこともあります。
身近な人の異変に気づいたら、積極的にサポートしてあげましょう。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

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